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【報告】ファンドレイジングセミナー2010 第3回「ソーシャルメディアで『縁』を広げる」

2010.10.27

■登壇者:
社団法人シャンティ国際ボランティア会 国内事業課 課長 鎌倉幸子氏
NPO法人CANPANセンター 理事 久米信行氏

■報告:横尾洋和(ボランティアスタッフ)

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初めに、ファンドレイジング協会の徳永氏から、「今日は昨日と打って変わって晴天です。今回は3回目。ソーシャルメディアで縁を広げる、をテーマにお二人の講師がお話し下さいます。」との挨拶がありました。
また、今回のテーマ、ソーシャルメディアはアメリカが中心であり、そのため今回のセミナーは米国大使館から助成をいただいています、と述べました。

最初の講師は久米様でした。

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まず、久米様は、ご自身が当日着ていた”墨田区Jazz Festival”のTシャツのきっかけが、Twitter<>というソーシャルメディアからだった、というお話をされました。最初に、ある中小企業の経営者の方からTwitterで久米様にお話が来て、久米様がご自身のビジネスであるTシャツ作成の面で協力することになったそうです。
Twitterとリアルなご縁が、イベントの成功につながったそうです。

その後、久米様はソーシャルメディアの活用で、NPOの活動は劇的に変わる事をせつめいされました。その利点は以下の様に述べられました。

利点:・ソーシャルメディアは無料か低コスト
・より多くの人と”ゆるく”つながることができる
・活動を楽しく明確に伝える事が可能
・新しいサポーターを獲得する事ができる
・サポーターと綿密に交流する事が可能。
・サポーター同士でネット・コミュニケーションができる

その中で、ソーシャルメディアを活用するときに重要なことは、団体の理念を、短く、明確に伝えることだとおっしゃられました。

その後は、久米様が墨田区の観光協会と作成した1分半ほどの動画を拝見しました。
そこで、NPOも1分動画を作るべきだとのべ、作る際に必要な事は、
“言霊×人魂×物魂“
だとおっしゃっていました。動画を作るにあたって、NPOではイベント等で必ず動画を撮るようにし、それを活用できるような下地を整えておくべきだ、と述べられました。また、久米氏は「どんなイベントでも10枚写真を撮るようにすれば、動画が作成でき、どのプレゼンよりも楽になる」と述べられました。

次に、久米様も参加されている日本の伝統的な和綿づくり体験の動画を拝見しました。その際は、ネット上での販売の利点をおっしゃっていました。例としては、動画に映された和綿を利用した”Live Earth”Tシャツを坂本龍一氏等の有名アーティストにサインしてもらったものをネットオークションで販売したところ、70万円で売れたそうです。久米様は、「これはNPOでのヒントになると思います。銀座の真ん中で売れないものでも、ネットでは、売れるのです」と述べられました。

つづいて、四万十川の川岸を利用してのTシャツ展の動画を拝見しました。このイベントはネットボランティアはいつもすぐに満員になるそうです。企画の概要がわかりやすく、誰でも参加が出来るため、地域メディア、全国放送も食いつきが良いそうです。
今では、モンゴルに巡回し、ハワイでも開催されるTシャツ展。久米様はこの事例を通じ、「楽しいは、次々と伝播する。」事を説明していました。

最後の動画として、「日本酒Tシャツ100選」の動画を拝見しました。
これは、観光協会がスカイツリーに来てもらう魅力として、酒に注目し、また今後増加するであろう中国人観光客に注目したからです。久米様は「今後NPOも中国人観光客は注目すべきだ。」と述べていました。ここでは、Tシャツ展でのTwitterのつながりを紹介されました。例えば、
・ひとつ質問を発信すると、みんなが教えてくれて、助けてくれる。
・一番思い入れのある人が、直接語りかけてくれる。
・一つのイベントが、参加した人によって、様々な広がりを見せる。

といった事を述べられていましたが、こういった一連の流れが、コストほぼなしでなされた事が、とても大きいと述べられていました。

その後は、ネットの活用度が顧客の獲得の上でどの様に重要かを述べられました。久米様は、「ネットで検索し、Twitterでフォローしてから会うのと、初対面で何も知らないのでは、全然違う。今の時代、スキルのある人であっても、Twitterでフォローしていれば盗むこともできる。事前準備、直後、当日、その後のつながりをたもつ事、がとても重要だ。」
と述べていました。
また、Twitter等のソーシャルメディアを使いこなすには、
・使おうという意識が重要
・一期一会を大切にすること
・直接会いたい人に会いに行くこと

の3点を述べ、「ググって、ウィキして、会いに行け」と述べられました。

それから、顧客との関係性向上のポイントの例をいくつか挙げられました。
その際は、

例えばある講演者の方とお会いする場合、写真を撮って、スライドにする、動画する。事前にブログ等をチェックする。それだけで、その仲良くなりたい人と、仲良くなれる事を述べました。

また、メールに関してのポイントでは、

・共通点、共感点を題名、文章に含める
・あくまで、直球(北風)ではなく、相手の懐に入り込むことが重要(太陽)
・いきなり寄付のパンフ、紹介PPTよりも、紹介する動画を簡単に添付したほうがいい。

と述べられました。

その後は、Twitterの利点を説明されました。
Twiiterは久米様が使用した中で、最も使いやすく、気軽で、人を選ばないツールだそうです。

久米様によると、Twitterを楽しむ知恵は、
・ジャージ姿で気軽に発信(ネクタイをとったくらいの気構えでやった方がいい)
・含みを持たせて好奇心をあおる
・リツイートが出会いを広げる※誰かのつぶやき(ツイート)を転送すること
・街頭TVの如き一体感を味わう
・Twitter共有(買った商品等を、すぐにTwitterで共有できる仕組み)で仲間探し
・フォローと返信により深い仲
・完読よりも近い人を大切にすること
・遠くの人とつながろうとしないこと→近くの人と深くつながるが重要

のポイントを挙げられました。

Twitterでつぶやくこととしては、
・新聞、ラジオ等の紹介
・通勤途上で見つけた花鳥風月
・お会いした方、仕事のこと
・今日のランチ、弁当、おやつ
・今の本、音楽、テレビ
・今日買ったもの、ほしいもの
・フォローしている人の記事で感じたこと

等挙げておられました。

その後、顧客獲得を効果的に行い、トップセールスになるには、

・真面目に商談するよりも、役立たない個人の領域の方が結果的にコミュニケーションを
促進する事。Twitterは限りなく、個人の領域が広く、コミュニケーションの幅が広がる事。
・普段を変えて、つぶやく事が一番人生と世界を変える事

と述べられました。

最後に、Ustreamという生放送が出来て、動画が録画できるツールを紹介されTwitterと連動するとリアルタイムに動向がわかり、結果も即発信できる利点がある事を述べられました。

その後、今回の講義の結論として、新時代のファンドレイジングは、

・補助金に頼らない
・ネットで通信費、広告・宣伝費を削減⇒書籍販売に
・パートナーも喜ぶ三方よしのビジネスモデルをかくりつすべき
・マイクロクレジット×アフィリエイトで薄利多収
・企業に販促ネットコミ効果を定量的に提案
・商工団体キーパーソンと積極的に交流すべき
・NPOパワーを集結して、相乗効果を

の7点を述べられ、久米様の講義が終了致しました。

お二人目は社団法人シャンティ国際ボランティア会の鎌倉様による講義でした。

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最初に、鎌倉様は、「IT一見バーチャルな関係のみに感じるが、逆にローカルな関係を強くする効果がある」と、Twitterで鎌倉様が地元の方と繋がりを深めた事例えお挙げられました。
元々カンボジアでずっと勤務していて、その際はインターネットはままならなかった。

鎌倉様は、ソーシャルディアの特徴の一つとして、NPOの特徴である

・社会サービス:事業を通じた社会的課題の解決
・市民性の創造:寄付、ボランティアを通じた社会参加

上記の2点を柔らかく伝える事が出来るとおっしゃっていました。

鎌倉様は、ソーシャルメディアを活用するきっかけは、所属してる団体が経営としてかなり厳しい状況に陥っていると感じたからだそうです。その当時、タダで募金を増やし、イベントへの来場客を増やすべきかを考えた際、ソーシャルメディアに辿りついたそうです。
現在は、構成員全員が書くことが義務になっている、所属しているシャンティのオフィシャルブログの他に、個人としても、
・ブログ
・Twitter
・Mixi
・U stream
も活用しているそうです。

その後、ソーシャルメディアの定義として、鎌倉様は、
「インターネットを介した社会的会話」だと述べました。

そのため、

・ITスキルよりも、人間力が鍵!
・固くならず、とにかく会話だと思うことが大事。
・会議で話されているときよりも、お茶の時間につぶやいていることの方が、
重要で真実であることの方が多い。

というソーシャルメディアの重要な点と特徴を述べていました。

Twitterも、つぶやきをアップしただけでは一方的な情報を発信しているだけで、自分からつながる意識を持つ事が大事だと述べられました。そのため、

・ブログにコメントを残す。
・ツイッターに返信する。
・オフ会に参加する。主催する。
・オンラインでも、オフラインでも会話をしていく。
・人間味のある記事を書くべき
・待っていても、人が来るわけではなく、基本はアナログなコミュニケーションと同じ。

鎌倉様は、現在イベントの集客の2割程度がTwitterであると述べられ、イベント中に質問にもタイムリーに答えられる事も利点としていました。

最後に、結論として、ソーシャルメディアとは

・インターネットを介して世界中に広がる「社会的な会話」
・その団体にどの様な人がいるのかをしらせるもの
・何を伝えたいか、+誰に伝えたいかを明確にして伝える

事が重要であると述べられ、講義は終了しました。

講義終了後は、鵜尾が「ソーシャルメディアを面白いことをしようと思うと、自分が面白くなる、団体が発信体質になる、といった効果があると感じた。」と述べられました。

【その後の質疑応答】

質問1:大量に情報を見て、書かなきゃと思うが、時間をどう取るのか?

久米:
フォローしている人には申し訳ないが、今は個別に返信がある方しか見ていない。
そうするとメールよりも少ないので、職場の休み時間に30分くらいですむ。基本は隙間時間につぶやく様にしているので、あまり時間を取っていない。
若い人のTwitterはほぼ面白くない。年代が上の方の様な、深みのあるつぶやきが非常に面白いと感じている。

質問2:
都市計画をしているコンサルタントに勤めている。観光協会と関わりがあるのかと思って来た。こういった場に来ると、ソーシャルメディアをやっている人は多いが、実際、1割、2割。高齢者もあまり使っていない。こうした使っていない人とソーシャルメディアをつなげるにはどうすればよいとおもうか。

鎌倉:
現状は、20、30代をターゲットにソーシャルメディアを、年配の方はアナログの様な機会で巻き込む様に活動している。
現在、チャリティー落語を行っているが、こうした継続しているアナログの機会と、ソーシャルメディアをつなげればよいのではと考えている。

久米:
永遠に困っているテーマ。写真付き携帯で写真送れるか。送れればソーシャルメディアは使える。今後、スマートフォンが普及し、文字も打たなくてよくなると、利用者は増えると考えている。
ただ、今後は、おせっかいな体質でないといけない。その点、下町の、高齢者の方はものすごいおせっかい。若い人と、年配の方がタッグになって、情報を発信できればよいのでは。

質問3:
二児の父。ファンドレイジングをやっているが、ソーシャルメディアをまったく使ってなかったのできた。ソーシャルメディアに使用しない人もいる中で、まだ紙媒体のメディアはじゅうようではないかと思っている。それに関してどう思うか?

久米:
使い道だと思うが、自分たちで印刷する必要はないのではないか。
今は、ブログが書籍になる時代。プロが印刷したくなるような発信をすべき。

鎌倉:
紙媒体がすべてではない。今後、年末の寄付等を募ったりしていると思うが、こういったものは、大事にしている。ソーシャルメディア、イベント等で知り合った人を、リピーターにする事が重要だと感じていて、それにはソーシャルメディア+アルファが重要だと感じている。常に意識していることは、相手にとって、何が一番うれしいかを考えること。

久米:今日からTwitter始めましょう!
鎌倉:あくまで、対話であり、縁が大事。これからもつながっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

鵜尾:
FRJで、ファンドレイジングは、ファン度をレイジングすることだ、と言っていた。
それは、Twitterのハッシュタグで見つけたもの。
すぐに魔法のように変わるわけではないが、コミュニケーションに変わる魅力を秘めている。
自分には、わくわくする日が年に何回かある。
FR協会、1年半たって、ファンドレイジングの成功事例を伝えたいと思って話していた。2月に行われたFRJは、当時100人しかあつまらないといわれていたが、400人集まった。
今日、午後3時、FRJ2011の告知パンフが出来上がった。
「新しいこと、さぁ始めよう」新しいことにチャレンジすることは難しい。ただ、変わることで何か変化が見える様になる。
FRJでも様々な試みを行う予定。基調講演にはソーシャルメディアの第一人者が来る。
1年に一度、ファンドレイジングに携わる人たちが集まり、一人でも多く、社会にいいことをしようと思う人が増えること。そういった機会にしていきたい。

(拍手を持って終了)