無料 投稿日:2016年6月22日

「英米における社会的インパクト投資・評価の現在」報告会開催レポート (英国編)

下田 聖実Seimi Shimoda
日本ファンドレジング協会 社会的インパクトセンター ディレクター

6/1米国編に引き続き、三菱UFJリサーチ&コンサルティング様との共催セミナー
「英米における社会的インパクト投資・評価の現在」英国編の報告会を開催しました。

  • 連続セミナー「英米における社会的インパクト投資・評価の現在」米国編開催レポートはこちら

英国は、「社会的インパクト投資・評価」の分野における取り組み先進国ですが、英国のソーシャルセクターでは「どのような団体」が「どういった活動」を行っているのでしょうか。英国編では、社会的インパクト評価の「実践側」と「推進側」それぞれの取り組みについて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの水谷さん、家子さんよりご紹介いただきました。

参加者の皆さま

【参加者の皆さま】

■ 英国における社会的インパクト評価、「実践側」の取り組みについて

まずは、社会的インパクト評価を実践する団体をいくつかご紹介いただきました。

ヒアリング調査対象一覧(英国)

【ヒアリング調査対象一覧(英国)】

出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2016)英国における社会的インパクト評価の現状について

はじめに、ご紹介いただいた団体は、コミュニティ・トランスポート(コミュニティ交通)を専門とする社会的企業HCTグループ(Hackney Community Transport Group)です。HCTグループは、あの有名なロンドンの赤いバスの運営(ロンドン交通局~リバプールまでの路線)や、福祉的な意義の強い事業でいうと養護学校に通う子供向けのスクールバスの運営、ダイヤル・ア・ライドという移動に困難を抱える交通弱者向けの電話予約サービス等も行っています。同団体は2009年以降、定期的にソーシャルインパクトレポートの発行を行っており、2015年のレポートではBig Society Capital(社会的インパクト評価推進側の団体、詳細は後述)が提供するアウトカムマトリクス(成果を可視化するためのマトリクス)を使用し、社会的インパクト評価を実施しているそうです。

HCTグループの事例では、非常に興味深かったポイントがありました。彼らは、団体の長期アウトカム(長期的な成果)として「障碍者の方が、コミュニティバスの利用によって自己肯定感がどれだけ上がったか」を設定しているそうです。バスの利用者数ではなく、団体の事業が、事業の受益者に対して与えた便益を評価しようとする取り組みは、見習うべきところだなと感じました。

その他、紹介いただいた団体の取り組みは以下の表に詳細がございますので、ご覧ください。

各活動団体の評価方法と評価結果の活用方法(英国)

【各活動団体の評価方法と評価結果の活用方法(英国)】

出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2016)英国における社会的インパクト評価の現状について

■ 英国における社会的インパクト評価、「推進側」の取り組みについて

社会的インパクト評価推進側の取り組み団体として、ご紹介いただいた組織は全部で4つの組織です。

各推進団体の活動の狙い、利用者イメージ、普及に向けた取組(英国)

【各推進団体の活動の狙い、利用者イメージ、普及に向けた取組(英国)】

出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2016)英国における社会的インパクト評価の現状について

英国の推進側の取り組みとしては、資金提供/仲介を担う主体(政府、社会的インパクト投資を行う中間支援団体、民間投資家(金融機関・個人投資家・財団等)、民間企業)が、社会的インパクト評価を実践できるように団体の活動を評価するための「各種ガイドラインやツール」を開発・提供しているそうです。また、現場の活動団体における評価負担の軽減のため、中間支援組織が中心となった活動(Inspiring Impact※)も展開されています。

今回の報告会を通して、英国では国や民間が協働し、社会的インパクト投資・評価を推進してきた結果、現在のように様々な団体が取り組めるようになってきたのだなと感じました。

日本でも、6月14日に社会的インパクト評価推進に向けた民間イニシアチブ「社会的インパクト評価イニシアチブ」の発足が発表されました。日本における社会的インパクト投資・評価はまだまだこれからですが、こういった動きが加速されることで社会課題解決に向けた新たな資金の流れがうまれるといいですね。

※Inspiring Impact:
NPC やNCVOなど8つの組織で構成される団体、社会的インパクト評価や投資の推進を行う。

■ 報告会へのコメント

今回の報告会では、オーガナイザーは鴨崎貴泰氏(日本ファンドレイジング協会事務局長)、コメンテータには小林立明氏(日本公共政策研究機構主任研究員)のお二人にご参加いただきました。

発表の様子

【発表の様子】

小林氏には、「社会的インパクト評価」についての定義や、「社会的インパクト投資と評価」の関係性についてコメントをいただきました。詳しくは、小林氏が公開している「ジャパン・ソーシャル・イノベーション・フォーラム」の記事をご覧ください。欧米を中心とした海外のソーシャル・イノベーションに関する最新情報を得ることができます!

「英米における社会的インパクト投資・評価の現在」の詳しい情報は以下の報告書に記載があります。とても分かりやすくまとまっておりますので、関心ある方は是非お読みください。
【米国版】
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/h27wg-impact-hyouka-5-3.pdf
【英国版】
https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/h27wg-impact-hyouka-5-4.pdf

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下田 聖実 Seimi Shimoda

日本ファンドレジング協会 社会的インパクトセンター ディレクター

慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科修了。
大学卒業後、教育系NPOのファンドレイジングを担当。
その後、外資金融情報ベンダーや大手監査法人のアナリストとして企業価値向上に向けたESG(環境・社会・ガバナンス)や財務分析業務に従事。他、NPO法人マドレボニータでインターンの経験有。
2016年より、社会的インパクト評価・投資事業のディレクターとして日本ファンドレイジング協会に入職。

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