日本ファンドレイジング協会 設立趣意書


日本社会は、今、大きな変革の時を迎えています。

少子高齢化社会の進展、経済のグローバル化、行政主導の国づくりの限界が広がっていること、地方分権の進展など、日本社会のあり方が大きく急速に変化してきています。

その中で、これからの日本社会の公共的領域の担い手にも大きな変化が表れてきています。従来からの中心的担い手であった行政だけでなく、企業、市民社会といった新しい担い手が現れ、急速にその重要性を増していっています。
とりわけ、特定非営利活動法人や公益法人などをはじめとする市民社会(民間非営利セクター)は、これからの日本社会において、極めて重要な役割を果たすと期待されてきています。

私たちは、市民社会は、行政が公共的領域を十分担いきれなくなったから、企業や市民社会がそれを代わりに引き受けていくものだとは考えていません。
市民社会は、福祉や医療、芸術文化、スポーツ、学術研究、教育、国際協力、環境保全、人権擁護、まちづくりなどのさまざまな公共的領域において、行政にはできない革新(イノベーション)と市民主役の社会づくりを推進するという独自の役割があります。
市民社会は、自発的で自由な新しい民主的社会を構築していくという21世紀の社会建設の中心的な主体なのです。

しかし、このような重要な役割を担う日本の市民社会は、まだその発展の途上にあります。そして、その健全な発展を支える基盤は十分に整っていないのが現状です。
とりわけ、市民社会を推進するための自立的財源は極めて脆弱な現状があります。
私たちは、この市民社会のための自立的財源という点において、寄付がきわめて重要な資金であると考えています。

寄付は、行政に市民社会が依存せず自立できるようにするというだけでなく、一人ひとりの市民の社会参加であり、市民活動であり、自己実現です。市民が社会とつながる重要な手段なのです。また、それゆえに、行政にはできないような新しい社会のニーズに応える革新を推進する市民一人ひとりのツールとなるものです。

日本においては、長い間、「寄付の文化がない」と言われてきました。

確かに、欧米に比べて、国全体の寄付金額や個人の寄付額が少ないという現実があります。また、企業の社会貢献も発展途上にあると言われています。
しかし、日本において、7割以上の人々が寄付を行い、助けあいの地域社会が長い歴史の間で培われてきたということも私たちは理解しています。
近年の寄付税制の改革や寄付をめぐる人びとの意識の変化は、新しい時代の訪れを告げています。

私たちは、この時代状況において、日本社会の未来のために、寄付の革新が必要だと確信するに至りました。

寄付が「陰徳」や「慈善」というだけでなく、社会参加であり、自己実現となるような社会。寄付を行うことで、人々の幸せがつながり、その連鎖が大きく社会を変えていけるような日本を実現していくときだと考えています。

私たちは、この「寄付文化の革新」を推進するために、日本ファンドレイジング協会を設立することを決意いたしました。

日本ファンドレイジング協会は、民間非営利団体でファンドレイジングを担っている担当者だけでなく、企業の社会貢献担当者、助成財団の担当者、有識者など、市民社会による社会変革の推進を目的に、日本の寄付文化を革新しようとするすべての人々とともに設立していきたいと考えています。
民間非営利団体の方へは、ファンドレイジングの担当者間の交流や、ファンドレイジング担当者の技能や信頼性の向上の機会をご提供し、
企業や助成財団などの民間非営利団体を支援する方へは、民間非営利団体とのWin-Winの関係構築に成功している事例や関係づくりの機会をご提供し、
民間非営利団体の活動を円滑にするためのデータベースやITなどのツール提供を行う方にとっては、仕組みやツールの普及の機会をご提供し、
寄付者や支援者へは、寄付市場のデータ整備や安心して寄付できる環境の整備、そして寄付者教育の推進などを通じて貢献していきたいと考えています。

それにより、寄付という行為が高く評価され、ファンドレイジング担当者が誇りと自信をもって、仕事を遂行し、また、寄付者が幸せと満足を実感できる新しい寄付社会を創造していきます。

日本ファンドレイジング協会は、幸せの連鎖を生み出すために、ファンドレイジングの革新を実現していきます。

ぜひ、この理念に賛同する方は、日本社会を変革する仲間として、私たちとともにこの活動に参加していただきたく、広く呼びかけるものです。

平成20年11月26日
日本ファンドレイジング協会
設立発起人世話人一同